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「つるおかふうどフェスタ」鶴岡の食文化の歴史と伝統を未来へ

鶴岡市街地

2024年12月7日、山形県鶴岡市が日本初のユネスコ食文化創造都市に認定されてから10周年を記念して「つるおかふうどフェスタ」が開催されました。国内外のゲストや海外姉妹都市、市民約2500人が来場し、「つるおかのゆたかな”ふうど“ 食べて、知って、楽しもう!」のキャッチコピーのもと、これまでの10年を振り返るとともに、未来へつなぐ取り組みが紹介されました。

つるおかふうどフェスタ辨天太鼓
辨天太鼓創成会による力強い太鼓の演奏でフェスタが幕開け

皆川治鶴岡市長の挨拶が行われ、海外・国内ゲストの紹介や、鶴岡市の食文化創造都市としての歩みが紹介されました。髙橋一成文化庁参事官からはユネスコ食文化創造都市認定10周年への祝辞が述べられました。

つるおかふうどフェスタ 乾杯
国内外のゲストと会場のみんなで乾杯!

トークセッション

鶴岡の食文化を支える人々がテーマごとに語り合いました。また、食育に取り組む小学校・高校の生徒による発表も行われ、多くの聴衆の関心を引きました。

つるおかふうどフェスタトークセッション
トークセッション①では食文化を担う4人がそれぞれの取組と今後の展望について語った

トークセッション①「食文化創造都市10年の軌跡 過去、現在、そして未来へ」では、鶴岡市の食文化を担う4人が、地元食材や郷土料理、在来作物、精進料理の魅力と課題について語り合いました。「アル・ケッチァーノ」オーナーシェフ 奥田政行氏は、地元食材の活用や後継者育成、生産者の収入向上を推進。山形大学農学部教授 江頭宏昌氏は、在来作物の調査を通して、お金とは異なる価値を見直し、「喜びの連鎖」で在来作物を守る活動を続けています。「羽黒山参籠所斎館」料理長 伊藤新吉氏は、鶴岡の精進料理を提供し、国内外にその伝統文化と魅力を発信。「知憩軒」店主の長南光氏は、郷土料理を継承しながら「土に近い生き方」を実践し、1日3回の食事の大切さや、生産者・料理人・食べる人が支え合う食文化を通じ、幸せが広がる鶴岡市を願いました。
4人は鶴岡の魅力を高めるため、食文化の認知拡大や観光振興、文化継承に取り組んでおり、「鶴岡市をさらに魅力的なまちにしていきたい」という熱い思いを語りました。

つるおかふうどフェスタトークセッション
緒方湊氏によるトークセッションではクイズ形式で在来野菜が紹介され、会場が盛り上がった

トークセッション②「最年少野菜ソムリエプロが語る!伝統野菜・在来作物の魅力」では、スペシャルゲストの緒方湊氏が登場。8歳で野菜ソムリエ、10歳でプロ資格に最年少合格を果たし、現在16歳(2024年12月)の若さで全国のイベントやセミナーで野菜の魅力を発信しています。

つるおかふうどフェスタトークセッション
魚も大好きだという湊さん。鶴岡は野菜だけでなく食材全般において恵まれていると語った

湊さんは、伝統野菜や在来作物がその土地特有の風土で育ち、濃厚な味わいと独自の魅力を持つこと、さらに歴史や文化と深く結びついていることを紹介。クイズ形式で、鶴岡市のだだちゃ豆や民田なすをはじめ、全国の伝統野菜の特徴や歴史を解説し、これらの継承の大切さを訴えました。また、干し野菜の味噌汁の実演では、食材を無駄なく活用する工夫を提案。伝統野菜を地域の財産として守り続けたいという湊さんの熱意が伝わりました。

トークセッション③では、「持続可能な未来へ 生産者×料理人×医療者 異分野連携による新たな挑戦」をテーマに、サスティナ鶴岡代表(庄内ざっこ料理人)齋藤翔太氏、鶴岡食材を使った嚥下食を考える研究会共同代表(鶴岡協立リハビリテーション病院言語聴覚士)田口充氏が、異分野連携による新たな取り組みを紹介。

トークセッション④「海外都市との交流がもたらす食の可能性」では、株式会社エルサン代表取締役会長 エルサンワイナリー松ヶ岡株式会社 代表取締役社長 早坂剛氏、株式会社東北ハム 代表取締役社長 帯谷伸一氏、鶴岡市企画部 食文化創造都市推進監 三浦裕美氏が登壇。早坂氏は、2015年のミラノ万博をきっかけにイタリアとの交流を開始し、松ヶ岡でワイナリーを設立。2022年にはダブルゴールド賞を受賞、2023年のG7広島サミットでもワインが採用されました。帯谷氏は、90年の歴史を持つハム・ソーセージメーカーとして、イタリアのパルマとの交流を通じて日本独自の生ハム開発に取り組んでいます。三浦氏は行政の立場から、食文化創造都市推進課として料理人の海外派遣制度の整備や、食文化の保存継承に努めています。参加者たちは、国際交流の重要性、そして食文化を通じた地域発展の可能性について意見を交換しました。

世界の料理デモンストレーション

つるおかふうどフェスタ
ノルウェーのシェフによるペルセトルスク(塩漬けタラの焼き物)のデモンストレーション

ユネスコ食文化創造都市や海外姉妹都市のシェフが一堂に会し、料理を披露しました。
ノルウェーのベルゲン、ブラジルのフロリアノポリス、メキシコのメリダ、ポルトガルのサンタマリア・ダ・フェイラから参加した海外シェフによる料理デモンストレーションが行われ、最後には鶴岡が地元食材を使った料理を披露。デモンストレーション会場は満席で、各国の食材や調理法について多くの質問が寄せられるなど、注目を集めました。
(ベナンのボヒコンからの一行は、翌日に行われた風土×Food Nightからの参加になりました)

つるおかふうどフェスタ料理のふるまい
ポーク・チョップ・バーガーをふるまう中国マカオのシェフ

また、料理のふるまいには中国のマカオ、日本の臼杵市、アメリカのニューブランズウィック、フィリピンのイロイロシティも参加。多彩な料理が振る舞われ、参加者は各国の美食を堪能しました。食文化の多様性を実感できるひとときとなりました。

風土×FOOD Night ~食がつなぐ世界と鶴岡
ユネスコ食文化創造都市等10都市のシェフの饗宴
風土×FOOD Night ~食がつなぐ世界と鶴岡
参加者には各国の美食がふるまわれた

翌日の8日は、来日したシェフが腕を振るうディナー「風土×FOOD Night ~食がつなぐ世界と鶴岡~」もグランドエル・サンで開かれ、約100名の参加者が美食を堪能しました。

ふうど体験&ワークショップ

つるおかふうどフェスタ
野菜や果物、鯛などの縁起物をかたどった練りきりの「鶴岡雛菓子」体験

鶴岡のふうどガイドや食の事業者による様々な体験やワークショップが行われました。
鶴岡の雛菓子作り、笹巻作り、醤油の実や「だし」の飲み比べなど、多彩なワークショップが行われ、訪れた人々は地元の食文化を楽しみました。

つるおかふうどフェスタ
「日本料理わたなべ」の麹を使った「醤油の実」づくり

ふうどマルシェ

つるおかふうどフェスタ
鶴岡市のさまざまな食が体験できるブースが並び、多くの人が訪れた

鶴岡の食材を使った料理やクラフト品が販売されました。一般社団法人DEGAMのブースでは鶴岡4温泉の特産品や食メニューが紹介されました。

つるおかふうどフェスタ
試飲や試食も行われ、各温泉地の魅力が伝えられた

湯野浜温泉の「蟹」ブランド、あつみ温泉の「庄内サーモン」、湯田川温泉の温泉芽出し米の「麹」を使った料理、由良温泉の「ゆらのサザエさん」「ゆらのアナゴくん」など、各温泉の特色がPRされ、試食や販売も行われました。

つるおかふうどフェスタ
多くの人でにぎわう鶴岡四温泉のブース

多くの来場者で賑わい、地元の魅力が広く伝えられる機会となりました。

つるおかふうどフェスタは、国内外から多数の参加者が訪れ、食文化の魅力を広く発信するとともに、今後の発展への期待を高めるイベントとなりました。

イベント詳細鶴岡食文化創造都市推進協議会 公式サイト