鶴岡の柿農家で収穫体験!~農業&食文化体験レポート ①~
羽黒エリア
山形県鶴岡市は、三方を山々に囲まれ、庄内平野が広がる自然豊かな地域です。鶴岡市は数百年にわたって受け継がれてきた食文化が評価され、「ユネスコ食文化創造都市」にも認定されています。そんな食文化の豊かな鶴岡で、農業と食文化をテーマにした5泊6日の体験ツアーが実施されました。東京や神奈川、千葉など関東地域から集まった参加者たちは、市内の農園での作業を通じて収穫体験を楽しみ、鶴岡の魅力に触れました。
庄内柿の農園で農業体験
今回のツアーでは「庄内柿」の農業体験が行われました。鶴岡市で特産品として知られる「庄内柿」は、「平核無(ひらたねなし)」という品種で、種がなく四角く平らな形が特徴です。果肉は固めですが、渋抜きするとさわやかな甘みが広がります。庄内柿の原木は現在も鶴岡市鳥居町に現存しており、市の天然記念物にも指定されています。
農業体験では、参加者たちがいくつかの農園に分かれて作業を行いました。その中の一つ、鶴岡市羽黒町にある岡部農園では庄内柿をはじめ、複数の品種を栽培しています。広々とした農園が広がり、「都会とは異なり自然豊かで空気もおいしい!」と普段の生活では味わえない農園での作業を楽しみながら取り組みました。
岡部農園では、柿の木を低く横に広げる独自の栽培方法を採用しており、収穫時にはリフトは使わず、はしごを使って収穫します。手を伸ばせば届く実も多くあります。
作業は1日6時間程行います。ただの「果物狩り」とは異なり、収穫した柿は出荷用であるため、作業には真剣さが求められます。柿の選別基準は厳格に定められているため、参加者たちは農家の方からレクチャーを受け、出荷に適した色やサイズを見極めながら収穫していきます。初めは戸惑い気味だった参加者も、最終日には手慣れた様子で柿を摘み取るようになりました。出荷する柿は見た目も重要なため、丁寧に一つずつ、収穫してかごに積み込みます。
岡部農園の岡部さんは、庄内柿振興協議会の会長も務めています。年間を通じた細やかな作業が高品質な果実の生産につながることを重視し、枝や果実の丁寧な管理と技術の向上に取り組んでいます。今回のような観光客の受け入れや収穫体験といった取り組みについても積極的で、これらが人手不足の解消や地域の物産振興に寄与する可能性にも期待しています。
参加者の多くは、家庭菜園を楽しんでいる方や農作業に興味を持つ方々でした。「実際の農家で作業する機会は貴重で、とても勉強になった」「天気も空気もいい」「収穫作業は本当に楽しい」「農園の役にたててうれしい」といった感想が寄せられました。また、「以前にも農作業体験に参加し、楽しかったので再び来た」というリピーターもいました。彼らは都会の喧騒を離れ、自然の中で収穫の喜びを存分に味わいました。
休憩時間には、農園で収穫された柿やラ・フランスがふるまわれ、その新鮮さと美味しさに感嘆の声が上がりました。柿の品種ごとの味わいや食べ方について教わりながら、参加者たちは次々と手を伸ばし、自然と会話が弾みます。
自分で収穫した果物を味わう喜びや、新鮮な果物を食べる幸せを語り合い、場は終始和やかな雰囲気に包まれていました。
地元の農園の方々との交流を通じて、普段ではなかなか味わえない特別な体験ができるのは、このツアーならではの大きな魅力です。
鶴岡市の農業体験が伝えるもの
鶴岡市の農業体験ツアーは、地域の特産品の魅力を伝えるだけでなく、参加者が農作業を通じて土地の歴史や文化を感じられるよう工夫されています。今年は柿の収穫体験だけでなく、リンゴの農業体験が行われたほか、これまでに県内では夏にさくらんぼ、秋にラ・フランスの農業体験 が実施されたこともあります。
鶴岡の農家の皆さんにとっても、農業体験を通じて参加者に作業を手伝ってもらえることはもちろん、果物に興味を持ち、ファンになってもらえるという大きなメリットがあります。こうした取り組みを通じて、農産物は単なる「食べ物」を超え、地域の自然や文化、そして人々の暮らしを象徴する存在であることを、多くの人が改めて実感しています。
鶴岡市では、鶴岡の食文化と農作物の魅力を伝えるツアーやふうどガイドによるイベントも開催しています。詳しい情報は下記サイトからご確認ください。
ユネスコ食文化創造都市・鶴岡(外部リンク) | https://www.creative-tsuruoka.jp/ |
鶴岡ふうどガイド(外部リンク) | https://tsuruoka-fudo-guide.com/ |
※ツアーの開催は不定期です
※本記事は2024年秋取材の内容を基に作成しました