ふうどガイドが語る 鶴岡の美食と文化の魅力
朝日エリア
櫛引エリア
温海エリア
羽黒エリア
藤島エリア
鶴岡市街地
山形県鶴岡市は、豊かな自然に育まれた食文化が数百年にわたり大切に受け継がれ、平成26年(2014年)12月には、日本で初めて「ユネスコ食文化創造都市」に認定されました。数百年にわたり農家の人々が守り継いできた「在来作物」は60種類もあり、その栽培方法とともに継承されたこれらの作物は、「生きた文化財」として訪れる人々を魅了しています。また、出羽三山をはじめとする「精進料理」は、精神文化を大切にしてきた鶴岡ならではの食文化として知られています。
この鶴岡の食の魅力、その背景、歴史文化を広めるべく、「ふうどガイド」が誕生しました。ふうどガイドは、ユネスコ創造都市認定を契機にスタートし、海外との交流や観光客のガイド、地元の方へのアプローチなど、幅広い活動を展開しています。この記事では、ふうどガイドとして活躍する山口さんの鶴岡の食にかける思いに迫ります。
――ふうどガイドをはじめたきっかけは何でしょうか。
ふうどガイドは、鶴岡の魅力ある食に多くの人が触れ、感動していただきたいという思いで誕生しました。2014年に鶴岡市が日本初のユネスコ創造都市に選ばれたことがきっかけで、取り組みが始まりました。当時、私は野菜ソムリエの資格を取得したばかりで、鶴岡の在来作物をもっと広く知ってもらいたいという思いから、ふうどガイドとして活動することを決めました。
――ふうどガイドのお仕事内容を教えてください。
ふうどガイドは、「食+風土+ガイド」の意味を込めています。単なる食べ物の紹介だけでなく、その背後にある情報や体験を通して鶴岡の食文化を理解してもらいたいという想いが込められています。モニターツアーや視察に同行してガイドをすることもあり、ツアー内容の提案や実行も担当しています。また、地元の自治会で講座や現地研修を行うこともあります。ふうどガイドは、合格した者だけが認定され、食材や風土、歴史などの知識だけでなく、伝える力、企画力、行動力、コミュニケーション力が求められる仕事です。合格後もスキルアップに努め、他のガイドと情報を共有しながら、鶴岡の食文化を広めることに熱心に取り組んでいます。
――ガイドをされる際に工夫されていることはありますか。
ガイドをする際は、解説用のスケッチブックを作成し、様々な質問に答えられるように調査済みの情報を手元に用意しています。私たちふうどガイドはそれぞれが独自のスケッチブックを持ち、私は20冊ほど作成しています。自己紹介、焼き畑、羽黒山、庄内砂丘メロン、だだちゃ豆、孟宗など、様々なテーマのものがあります。庄内の食を提供する際は、お客様の出身地や好みに合わせた情報提供を心掛けています。
――海外からのお客様を迎えられることはありますか。
海外のツアー企画や外国人の受け入れなども行っています。約7年前にイタリア食科学大学との交流があり、その際にはコーディネーターを務めたことがあります。ユネスコの認定を受けてからは視察が増え、個別にご連絡をいただいて鶴岡滞在の内容をプランニングすることもあります。海外からのお客様を迎える際には、ゆとりを持ったスケジュールが必要で、日本のツアーは詰め込みすぎだと感じます。鶴岡は多岐にわたる魅力があり、それをお伝えするためには十分な時間が必要です。話すぎてしまうことがあるのが反省点ですが、質の高い情報提供に努めています。
――地元の方へ伝えたいことはありますか。
地元の方には、普段当たり前だと思っているけれども、実は他の地域にはない庄内の魅力に気づいてもらいたいと思います。ふうどガイドは、地元の料理や食文化についての認識を高め、共有していくことが大切だと考えています。例えば、観光客が道ですれ違った際に、「おいしいものありますか、どこで食べられますか」と聞かれたとき、地元の方も気軽にお話ができるようになれば素晴らしいです。また、郷土料理に興味を持つ方も多く、勉強会を通じて知識を深める機会を提供することもあります。
――ふうどガイドとしてお伝えしたいことを教えてください。
鶴岡は四季折々のおいしい食材が楽しめる素晴らしい場所です。ここには先人が築いてきた食の歴史や文化が根付いており、それを知ることでさらに食文化への理解が深まります。私は庄内一の食いしん坊であり、食べることに自信を持っています。ぜひ鶴岡を訪れ、地元の美味しいものを存分に楽しんでください。四季折々の風土と共に、鶴岡の食文化がお客様に心に残る素晴らしい思い出となることを願っています。