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鶴岡のごはんの魅力/料理研究家 長田絢さんインタビュー

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料理研究家長田絢さん
料理研究家長田絢さん

山形県鶴岡市は三方を山に抱かれた庄内平野が広がる自然豊かな場所。日本有数の米どころとして知られています。鶴岡のごはんは「白飯で食べるのが一番美味しい!」と、鶴岡に訪れる人からの評価は高く、お土産、贈り物、ふるさと納税でも人気があります。鶴岡のごはんの美味しさについて、料理研究家 長田絢さんに鶴岡産のお米を食べ比べていただき、その魅力を語っていただきました。(インタビュアー/古賀寛明)

土鍋で炊いたつや姫

――本日、鶴岡産の5種類のご飯を食べ比べていただきました。ひとつずつ振り返っていただけますか。
長田:お米を食べ比べする機会はなかなかないですが、個性の違いに改めて驚かされます。まず、「ひとめぼれ」は、米に弾力がありますが、米の味自体は主張が強くないので、こってりとした、例えば揚げ物や煮物といったおかずとも合わせやすいと思います。「はえぬき」も同様に食べやすさが特長かと思います。ひとめぼれより少し小粒かと思いますが、どんなおかずにも合うお米だと感じました。
続いて「こしひかり」ですが、柔らかさが特徴的で、鼻に抜ける香りと旨味があり、いくらでもご飯が食べられそうです。言うなれば飽きがこない。長く人気が続くのもよくわかります。それから「雪若丸」は一転、粒が大きく、硬め。食べ応えが十分ありますし、そのままでも十分美味しいのですが、あえてこの特長を生かそうと思えば、カレーライスやチャーハンに使いたくなります。きっと雪若丸の食感や美味しさが味を引き立たせると思います。さらに粘りもそこまで強くないので寿司飯でも合うのではないでしょうか。
そして、最後に「つや姫」ですが、まずはその名の通り米にツヤがありますね。また、もちもち感があり甘みもあって粘りも強い。噛めば噛むほど味が染み出してくるようですから、食事の主役になれるお米だと思います。こういったお米はなかなかありません。ですから、シンプルに塩むすびで食べるのがいちばん、つや姫の味を引き立てるはずです

鶴岡産ごはんの食べ比べ ごはん協力:井上農場

――鶴岡産のご飯を美味しく食べようと漬物を中心に10種類の庄内のご飯のお供を用意しました。ご飯をひきたたせる、気になるお供はありましたか。
長田:「しそ巻き」は、味もそうですが食感も楽しめましたし、「赤かぶ漬け」は、以前、鶴岡にお邪魔した時にいただきましたが美味しいですね。また、形状もみじん切りの漬物からトロっとした塩納豆まであるので、ご飯の種類とお供のマリアージュを自分で考えるといいかもしれません。ただ、味にキレがありますし、塩味が強いものも多いので、量は少しでいいのではないかと思います。そういう意味では、お酒のあてにも向いていますね。
加えて、ご飯やお酒だけでなく、パンにも合うんじゃないかなと思います。例えば、パンにマヨネーズやバターを塗って、そこにはりはり漬けのような漬物を挟むサンドイッチも美味しいと思いますし、タルタルソースでもピクルスの代わりに漬物を使うと良いのではないでしょうか。

――以前、鶴岡にいかれたとおっしゃいましたが、印象に残っている場所、味はありますか。
長田:一昨年、1泊2日で晩秋の鶴岡を訪ねたのですが、とにかく澄んだ空気と清冽な水が印象に残っています。それが羽黒山での精進料理にも感じられましたし、温泉街に泊まったのですが、翌朝の朝食でも強く感じました。炊きあがったお米のつやと透明感がまだ記憶に残っているくらいです。銘柄がつや姫だったこともありますが、水の良さのおかげですよね。

鶴岡のごはんと、ごはんのお供
鶴岡のごはんと、ごはんのお供

――つや姫の話がでましたが、つや姫が主役となると考えると、ご飯のお供も変わってきますか。
長田:つや姫の繊細な味を楽しむのなら、シンプルにおにぎりとみそ汁が良いと思います。少しあぶった海苔をおにぎりに巻き、おみそ汁の具には季節の野菜ではどうでしょうか。鶴岡は季節ごとに美味しい野菜がとれますからね。その2つだけで幸福感を得られそうです。
今回のご飯のお供ですと醤油や塩味が強く、お米の繊細な美味さは負けてしまいます。ご飯を引き立てるには、肉や魚といった動物性の味だと、どうしても強さが出てしまうので、植物由来の優しいお出汁しを見直すと、いいのかもしれませんね。
また、ご飯再発見としておススメしたいのが焼きおにぎりとお粥です。焼きおにぎりは、炊きたてのご飯を握って炭火やグリルで素焼きをして、表面を焼き固めます。それを醤油やみりんを塗っていきながら炭火やグリルで転がしていく。ポイントは素焼きをすること。まじめに焼きおにぎりをつくってみると、本当に美味しいんです。最後に鰹節をかければ、さらに美味しくなります。手間がかかるので、自分のためにつくるのは面倒ですが、誰かがつくってくれたら、こんなに嬉しいごちそうはないですね。また、お粥はお水が美味しい鶴岡だからこそおススメです。お酒をたくさん飲んだ次の朝にも胃にやさしいですし、中華粥のように小皿に載せたお粥の具材をお粥椀の周りに並べるだけで、見栄えもいいですし、食欲も増すはずです。

つや姫の塩おむすび
つや姫の塩おむすび

――最後に、ご飯の美味しい炊き方を教えてください。
長田:お米を冷たい水で研ぎ、炊く前に夏場は水に30分以上浸し、冬は1時間ほど浸します。また、冷たい水で炊くのもポイントです。それから、炊飯器でもおいしく炊けますが、土鍋で炊くと冷めても美味しいですし、お櫃から装うと、さらに雰囲気もでます。土鍋やお茶碗など、目で見て楽しむのも美味しさの重要なポイントです。おもてなしするつもりで、献立を考え、食べてもらうことが、いちばんのご飯のお供ですからね。

鶴岡のお米が美味しい!鶴岡のごはん特集はこちら

長田絢さんプロフィール
Japan Food Expert 代表取締役、料理研究家/栄養士
https://jfe-aya.jp/
1982年2月4日 神奈川県横浜市生まれ。 幼少の頃からプロダクションに所属し子役として活動、長男を出産後、食と健康の大切さに目覚め、人体学・脳科学・分子栄養学を独学。 子育てをしながら27 歳で高卒認定試験に合格、大学受験をして名古屋女子短期大学入学と同時にJapanFoodExpertを創業。
在学中、生産地を訪問して勉強を重ね、食材卸や料理教室などの活動を行う。
卒業後、栄養士を取得し、食をテーマとした講演やセミナー、料理教室、商品開発やレシピ制作、テレビ番組やラジオの出演、コラムや情報誌への執筆などの活動を行っている。
(独)中小機構地域活性化支援アドバイザー・6次産業化プランナーに選定され、農商工等連携認定事業や6次産業化のサポートも行い、2015年度には「がんばる中小企業300社」に選定される。魅力あふれる街づくり、地域を活性化するため地域創生事業プランナーとして、各市町村のコンサルティングを行ったり、飲食店開業支援やプロデュースなど食の分野で幅広く活躍中。
現在は東京に拠点を移し、都内の大学院に入学しMBAの取得を目指している。